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  • 2024/05/01 掲載

製造業の「現場DX」はなぜ進まない? 意外と見落としがちな「無線LAN」がカギ握る

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人材不足に対応するための業務効率化、生産性向上の取り組みは、業種や企業規模を問わず大きな経営課題となっている。製造業においても、AIやIoTを活用するなど、製造現場でDXを進める企業が増えてきた。しかし、その際の課題として見落としがちなのが、ネットワークインフラであり、無線LANだ。そこで近年、導入に向けてさらに関心が高まる無線LANについて、導入前後で課題や、その解決策について解説する。
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製造現場のDXを進めるカギがなぜ無線LANなのか
(Photo/Shutterstock.com)

DXを下支えする「無線LAN」

 製造業においても、現場DXが積極化している。たとえば、工場の生産ラインではAI、IoTを活用した検品、検査作業を自動化する取り組みや、作業員がスマートグラスを装着し、小型カメラで撮影された映像を基に、施設や機器などのトラブル対応を遠隔支援する取り組みなどが挙げられる。

 これらの取り組みを下支えするのがネットワークインフラだ。通信で制限されることなく、現場におけるDXの取り組みを進めるため、無線ネットワークの重要性は高まっている。

 一方で、インフラ整備が進んでいない現場は多く見られる。数多くの無線LANソリューションを手がけるネットワンパートナーズ ビジネス開発部 第3チームの内山 愛氏は、「製造現場におけるリモートサポートの需要が高まっています。ただ、人材不足などで新しい領域に取り組む余裕がない状況も散見されます」と指摘。

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ネットワンパートナーズ
ビジネス開発部 第3チーム
内山 愛氏

 具体的には、新たなインフラ管理ツールなどに習熟する手間が業務を圧迫すると捉えられているのだ。その上、「製造現場では、管理対象の端末が増え、通信も増える中で、通信インフラの運用管理の負荷が高まることに対して、多くの方が懸念を持たれています」(内山氏)という。

 続けて、ネットワンパートナーズ ビジネス開発部 第2チーム エキスパートの醍醐 朝和氏は、「自社工場に導入して使う機器は、自社で運用することが前提です。無線LANと言えば民生品のWi-Fi製品をイメージされると思いますが、法人の環境で利用する場合は求められる機能要件や、性能またはセキュリティなどの非機能要件が異なります。実際は民生品を購入して設置、運用するといったように、気軽に導入できないことがハードルとなっているのではないでしょうか」と指摘した。

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ネットワンパートナーズ
ビジネス開発部 第2チーム エキスパート
醍醐 朝和氏

 では、製造現場におけるネットワークインフラ整備にはどんな課題があり、どう解決すべきなのだろうか。

無線LANの運用管理は「負担が重すぎる」…

 法人向けの無線LAN導入のポイントについて、醍醐氏は「まず、工場のような環境でも安定稼働できる性能を備えたアクセスポイント(AP)を選ぶ必要があります」と説明。また設置前には、工場などの建屋、製造機器などの設備の設置状況などを事前に調査・確認し、「最適な電波状態が保たれるようなAPの設置場所を設計する必要があります」と話す。

 さらに、導入後の運用管理の面でも問題は多い。

「クライアントが接続できないなどの障害等が発生した場合には、業務への影響を最小限にするため、早期に状況を把握し、原因を特定して必要な対応を行う必要があります。ただし、障害発生時のモニタリングや調査対応は多くの場合、最終的に人が現場(設置場所)におもむいて、実際に現地のAPを見たり、オンプレミスに設置されたコントローラのログを見たりする必要があることが多いです。また、電波のトラブルの場合は目視で確認することができません」(醍醐氏)

 一方、内山氏は、「運用管理の形態はさまざまですが、たとえば工場の生産管理の職種の方がIT、OT(制御・運用技術)の両方を管理している場合、さまざまなネットワーク機器の管理を行うため、複数のコンソールを見る必要があり、アラートもたくさん通知されてきます」とその運用環境の負担の重さを指摘する。

 また、「日々、現場からはさまざまな問い合わせが寄せられ、必要に応じて製造元のベンダーに問い合わせ、解決策を模索するケースもあります」(内山氏)ということだ。ただでさえ管理者は多忙な状況にある中で、ネットワーク機器の運用管理でもさらに多くの仕事をこなさなければならないようだ。

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工場のIT管理者には多くの重い負担がのしかかっている

 つまり、これらの運用を少人数で担当できるよう、ネットワークの状況を一元的にモニタリングし、障害時の原因特定や解決策がひと目でわかるような、「運用管理負荷を軽減するソリューション」が求められているのだ。

AIが障害対応も? 注目すべき「3つの機能」

 こうした課題を解決する無線LANソリューションが「Juniper Mist AI」だ。醍醐氏は、「クラウド型ソリューションとして、無線LANネットワークをクラウドから遠隔で一元管理できる機能に加えて、ネットワークのアシュアランス(可視化)機能、AIによる運用自動化機能を備える」と説明する。

 まずクラウド型ソリューションとは、「Webコンソール画面より、企業の拠点LANからWANにわたる一元管理なソリューション」と醍醐氏は話す。Juniper Mistは、直感的な操作での管理が可能で、「Juniper Networks社製の拠点向け有線、無線LAN製品であれば一元管理が可能で、かつ工場でも導入できるくらいセキュリティも強固」(醍醐氏)とのことだ。

 特に、AIによる運用自動化、通信可視化の領域で強みを持っており、通信の安定性についても高いパフォーマンスが担保されている。

 また、端末から無線ネットワークに接続する際のデータを基に、独自のAIエンジンが学習、分析を行い、ネットワークの可視化とともに、自動的なトラブル解消につなげている。醍醐氏は、「クラウド型無線LAN製品は複数の競合製品がありますが、AIを搭載した運用自動化機能を備えているのは、Juniper Mist AIの独自価値です」と話す。

 続けて、「Juniper Mistは、APを工場に設置すれば、インターネット上でAPの運用を集中管理できます。先ほど申したとおり、APの障害対応のために、担当者が現場におもむく必要がほとんどありません」と話した。

 さらに深堀りしてAIによる運用自動化機能について詳しく見ていこう。まず1つ目の機能としては、「自動パケット保存」がある。これは、管理パケットをクラウドで7日間自動保存し、端末の接続ログを過去にさかのぼって確認することが可能だ。

 内山氏は「Webコンソール画面のダッシュボードで時間を絞り込むことができるので、障害が発生したおおよその時間がわかれば、その時間に何が起きていたのか、ひと目で状況を確認できます」と説明。さらに、実際にパケットキャプチャの中身を確認せずとも、原因は自動解析して画面に表示してくれるため、パケットの中身を確認できないような場合でも、容易に原因調査することができる。

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自動パケット保存によって接続ログを過去にさかのぼって確認できる

 さらに「サービスレベル可視化」機能がある。これは、「端末や拠点の無線LANのサービスレベル(使い心地)」を利用者視点で可視化することができるものだ。Mistはクライアントからの情報を収集。ユーザーがどう感じているかを、7項目の指標に沿って達成率をパーセンテージで表示する。その指標の期待値を下回った場合、「その原因をAIが分析してくれます。ユーザーから実際に不満の声が上がる前段階での対策も可能です」(内山氏)。

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7項目の指標に沿ってサービスレベルを可視化する

 内山氏は「Mistは、なぜ混雑しているかについて原因まで示してくれるため、切り分け作業が省力化されます」と話す。他の競合製品の中にはAIを搭載したものもあるが、混雑している現象のみを示してくれるものが大半で、原因分析にはつなげられないことが多い。

 そのほかに、「AIによる無線電波の自動最適化」機能もある。これは、無線LANに接続するすべての端末のRSSI(電波強度)データなどの無線環境データを24時間収集し、そのデータを基に最適な出力やチャネルといった改善サイクルを回すもの。つまりAIが自動で電波状況を最適化し続けてくれるのだ。

 これらの機能はすべて、APを導入する際に同時購入する、「Wi-Fi Assurance」というライセンスで利用可能であるが、 追加で「Virtual Network Assistant」というライセンスを購入することで、AIアシスタント機能も解放される。これは、チャット方式で対話的にトラブルシューティングを実施できる、そのネットワーク環境をより良くするためのToDoリストを作成してくれるなど、より手軽な運用を実現できる。現状はβ版として、日本語GUIが提供されている。

膨大なIoT機器のセキュリティ管理は超大変…?

 一方、セキュリティ面でOT機器の端末管理を担うのが「IoT Assurance」機能だ。これは、「膨大な数のIoT機器に、通常のノートPCのような安全な無線LAN認証の実装が難しい」という課題に対応するもの。

 内山氏は、一般的な無線LANの認証方式について3つの課題を指摘する。まず1つ目として、「代表的なPSK認証の場合、すべての接続端末で同じ共有鍵を使うため、その共有鍵が流出すると、誰でもその無線LANにアクセスできてしまいます」と話す。

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一般的な3タイプの認証と、IoT Assuranceにおける認証を比較

 また、機器の情報を識別してアクセスを認証するMACアドレス認証の場合、アカウント名やパスワードなどを入力する手間が省けるが、「MACアドレスは容易に偽装が可能なため、セキュリティレベルとしては低い」課題がある。

 さらに端末にインストールした証明書を使って無線LANにアクセスする「802.1x認証」の場合、IoTデバイスでは証明書による認証をサポートしていないケースが多い。導入に際してRadiusサーバや証明書(CA局)など、管理コンポーネントが増える課題もある。

 これらに対し、IoT Assuranceでは、MPSK認証機能をサポート。これは端末ごとに個別の共有鍵を使って無線LANにアクセスする方式で、「MACアドレスと、それに紐づいた共有鍵を使うため、IoT環境でもセキュアに接続することができます」と内山氏は説明した。

ある工場が「インフラ整備」で生産性向上できたワケ

 導入事例としては、某食品/飲料水メーカーの工場が挙げられる。工場内のDXを進める際に、タブレットの接続管理にJuniper Mist AIを採用。ダウンタイム削減による業務効率の向上や、Wi-Fi管理負担を低減し、生産性の向上を実現した。将来的には、位置情報を管理し、業務効率のさらなる向上を目指しているという。

 また某精密機器メーカー工場では、いわゆるスマートファクトリーに向けたAGV/AMR(搬送用ロボット)の接続管理のためにJuniper Mist AIを採用。運用管理の容易さやAIによる運用管理の安定性、AIによるトラブルシュートの容易さなど、無線LANの信頼性や運用管理に効果を実感している。

 最後に、Juniper Mistの代理店としてのネットワンパートナーズの強みについて、醍醐氏は、「Mist AIに対する深い知見と豊富な経験」をポイントに挙げる。

「ネットワンパートナーズはMist Systems社がJuniper社に買収される前の2017年よりMistの取り扱いを開始しており、日本で最も早い時期から実績を残しています。これにより数あるディストリビューターの中でも深い知見と豊富な経験を有しています」(醍醐氏)

 また、Juniper製品のみならず、同社取り扱い製品以外を含め、機能検証や性能検証をきめ細かく行っており、作成したドキュメントやデータ、ベストプラクティスや最適な機種を提案することが可能だ。同社の技術力や培った実績、ノウハウについては、FAQページ(「NOP Tech Info」)のほか、同社の「パートナーBLOG」などを通じて提供されている。

 さらに、実機を用いた無償のハンズオントレーニングについても、要望に合わせて開催可能で、製造業や物流業など、現場DXを進めるためのネットワーク基盤に課題を感じる企業は、気軽に相談すると良いだろう。

 なお、ジュニパーネットワークスは2024年1月にHPE社による買収が発表されている。HPE社のネットワーク部門は現ジュニパーネットワークスCEOが率いること、またジュニパー製品購入ユーザーは適切に保護されることが両社のプレスリリースにて発表されている。Aruba擁するHPE社と合流することにより、Mist AIのさらなる強化が予測される。

Juniper Mist製品ソリューション
https://www.netone-pa.co.jp/solution/mobile-wireless/juniper-mist/
パートナーブログ
https://solution.netone-pa.co.jp/__/tags/Juniper%20Mist
ネットワンパートナーズへの問い合わせ
https://www.netone-pa.co.jp/contact/index.html
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